近視進行抑制治療

子供の近視が増加しているのは、スマートフォンやTVゲームなどの普及で、
目を使いすぎていることや、外遊びをしなくなったことなど

環境の変化が関係していると言われています。
当院では、環境的要因によって近視になっているお子さんを中心に、
進行を予防する治療を行っています。

目薬

低濃度アトロピンという目の緊張を取り除くお薬です。
寝る前に5分間、星をみるといいという話を聞いたことはありませんか。
これは、寝る前に近くを見る作業を続けて、目が緊張したまま寝てしまうと
寝ている間に近視が進行するので、それを防ぐ目的があるのです。
しかし、実際には5分間、星を見続けるのは難しいので
当院では目薬で代用しています。

アトロピン点眼薬には強力な調節麻痺作用と散瞳作用がありますが、
低濃度で使用することにより調節麻痺、散瞳の影響なく近視進行の予防
ができることが分かりました。今、近視進行予防に有効な治療法の一つです。

費用は、150円です。(点眼液は無料ですが、容器代として費用がかかります。)

通電治療

初期の近視(調節痙攣)の人の目の周りに電気を流す方法です

慶應大学眼科学教授の坪田一男先生と田園調布眼科の石川まり子先生が
共同で開発した独創的な機械による画期的な方法です。
『通電くん』を使って毛様体の緊張を解き、調節力の回復を目指す
『通電治療』をご紹介します。

『通電くん』を用いた『通電治療』と呼ばれる電気治療の実際

  1. まずは患者様にベッドで横になって頂きます。
  2. 次によく湿らせた患者様の両手にアース棒(電極ハンドル)を握って頂きます。
  3. 治療担当スタッフが両手で患者様の両眼それぞれに接触子棒を当てて、全周を少しずつ移動させます。
    その際には決して眼球を圧迫しない事を心掛けます。痛さにより、出力を調節しますが、強いほど効果があります。
  4. 1回の治療の時間は5~6分間が目安です。
    患者様はピリピリとした感じと共に、ピカピカ光る感じを体感されます。
    患者様の体の水分が多いほど(若いほど)、電気が流れやすく、効果が期待できます。
  5. 一般的には患者様の裸眼視力の上昇が続く間はできれば週1回の通電治療の実施が望まれます。裸眼視力の上昇が頭打ちになりましたら、週1回、2週間に1回、月に1回、シーズンに1回と治療の間隔をあけていきます。

『通電治療』の効果の判定

患者様が視力の低下を自覚し始めた比較的程度の軽い時期ならば、良い効果が期待できます。
患者様が視力の低下を自覚してから1年以上経過していると改善は難しいようですが、少なくとも1.0以上の視力を出すのに必要なメガネの度数は弱くてすむようになります。

『通電治療』の実施にあたっての注意

  • 治療は予約制となります。
  • 施行後、目のまわりが赤くなることがありますが、これは一時的なもので
    翌日までにおさまります。
  • 片頭痛をお持ちの方は発作を起こす可能性があります。
  • 未成年の方は治療時には保護者の方とご一緒に来院ください。

ワック

D-5000という機械の愛称です。

D-5000 は目の緊張状態をほぐす、雲霧という機能を備えています。
この機械を使いトレーニングを行うことで目の緊張と取り除きます。
通電と併用して週1回から2回のトレーニングをお勧めしています。

通電とワックの費用は、その日の内容によって変わりますが、保険の負担割合によって0円から820円になります。

【 生活指導 】

近視は近くのものを見ることによって進むと考えられます。
一年間、サバンナで本を読まずに生活すれば視力大幅アップも
期待できます。しかし、日本人であるお子さんには現実的でないし
目だけいい子供では困ります。
日常的に多い近くの作業について対処法を説明します。

・本

いすに座って、手を伸ばして読みましょう。寝ながら読むと
ひじが曲がって本と目が近づいてしまいます。
子供は夢中になるとだんだん本が近くになってきますので
注意してください。暗い所で読むのもよくありません。

・書き物

いすに座って、背中を伸ばしましょう。
猫背になって、目と机が近づいてしまう子供が多いので
注意してください。

・ゲーム

DSとPSPは画面が小さく、目と画面が近づきやすいので要注意です。
また、長時間やり続ける傾向が多いので一回30分、週3日とか時間
を決めてください。

・パソコン

なるべく画面から離れてください。30分以上続けて
やらないようにしてときどき休憩をいれてください。

近視になってしまっても、それ以上進行しないように予防することはとても大事です。
以上のこと注意しても近視がすすんでしまったら眼鏡が必要になります。
眼鏡を常に装用するか、必要なときのみかけるかは、
その人それぞれの度数(近視・乱視・遠視の程度、左右差)や生活環境によって違います。

子供の場合、軽度の近視であれば、授業中など遠くを見るときのみかけさせて、
家で勉強や読書するときなど手元を続けて見るとき眼鏡をはずす方が良いと言われています。